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神田古書店街の五傑が登場!「イケブラファイブ」其の六
たくさんの皆様に反響をいただいた、ナビブラ神保町プロデュースによる“立川志の輔師匠と神田古本まつりのコラボレーション企画”。実現までの日々には、元祖イケブラのりょうにゃん&ユキちゃんの力が欠かせないものでありました。今回は、ここでしか読めない制作の舞台裏をお届けします。
イケブラりょうにゃん&ユキちゃんと、声を張り上げての街頭販売。
ある日、ふと訪れた神田古書センター3階の中野書店で。
「ねえねえ、ナビブラさんだよね? 今度さあ、公式目録の面白い特集を作ってくんない?」
まるで「ちょっと煙草を取ってくんない?」というぐらいの軽いノリで、
神田古本まつりに関する制作のお声を掛けていただいたのが、今から2年前。
「公式目録って何ですか?」恐れ多くも尋ねた私に、
「そうなの、誰も知らないの! 誰にも知られてないものを、一人でも多くの人に買ってもらえるように、
ナビブラさんの自由なアイディアで、ねっ!!」
と柔和に微笑んだのは、誰あろう神田古書店連盟の中野会長。
この中野会長の、会長らしからぬ気さくな人柄に惹かれたことが、全てのはじまりだった。
会長を心から慕っている若い古本屋のスタッフたちも、
これまた全く古本屋らしくない、明るく賑やかなナイスガイばかり!!
「古本屋って、気難しそう」というイメージで凝り固まっていた私には、あまりに新鮮だった。
制作を請け負う傍ら、私は若い彼らを「イケブラ」(もちろんイケメン・ブラザーズの略!)と命名、
ナビブラ上に引っぱり出し、さらに中野会長を「トモさん」と呼べるまでに親しくさせていただき、
いつのまにか「神田古書店連盟×ナビブラ」というチーム体制ができあがる。
そうして迎えた2008年、「第49回 神田古本まつり」。
「落語と古本、特に“志の輔らくご”の考えと、神田古書店街の今の姿は、
どこか通じるところがあるよね。古本まつりの企画で、何かできないかな」
これは、地元出身のナビブライター青木氏と私の間で、かねてから話し合っていたことである。
私達は、ナビブラ神保町を運営していく日々の中で、中野会長やイケブラをはじめ、
たくさんの古書店の方々と知り合うことが出来た。
神田古書店街には、当代で四代目・五代目という老舗店が多く、
一方で「世界一の古書店街・神田神保町」という町の魅力にひかれ、
脱サラをして出店した新しい店主もいる。
そのどちらともが「本を歴史に埋もれさせず、きちんと後世に伝えていきたい」という
共通の熱い思いを抱き、老舗と新店が共存して、街を作っている。
この温故知新の精神に結びつく、伝統と現代を見事に融合させた“志の輔らくご”。
私達は共に志の輔らくごの大ファンで、各々が高座に足繁く通っている身。
立川志の輔が創り出す落語の世界感は、神田古書店街のひとつの理想像でもあり、
神田神保町のあるべき姿そのものだと思えてならなかった。
そんな揺るぎない私と青木氏の思いのもと、中野会長に提出した企画。
題して『もしも、立川志の輔が古書店を作ったら…』。
まず公式目録の誌面で志の輔師匠にインタビューをし、誌上“志の輔古書店”を作ろう。
さらに、神田古本まつりでは、古本の市場である東京古書会館の中でそれを具現化し、
もしもその中で落語会ができたら……。
「神田古本まつりと立川志の輔」という組み合わせでしかできない特集、そして落語会。
スタッフ全員の脳裏に、「第49回」の夢が広がっていく。
そして2008年5月、志の輔師匠に手紙を書いた。
★
2008年10月27日。いよいよ「第49回 神田古本まつり」が開幕。
街頭にズラリと並ぶ『古本 第34号』。志の輔師匠の表紙に、道行く人々が立ち止まる。
その2日後、10月29日。
東京古書会館の地下に、志の輔さん自身が選んだ古書を並べ、
一日限りの「志の輔古書店」が誕生する。
暮れかかる神保町にできる、ひとすじの行列。
19時、本に囲まれた落語会『立川志の輔独演会 in 神田古本まつり』がはじまる。
志の輔師匠の一席目は、「志の輔古書店」にも並んでいた清水義範氏の同名作品を
モチーフにした「バールのようなもの」。
二席目は、神保町への思いや読書にまつわる話しなどを盛り込んだたっぷりのマクラから、「壺算」へ。
会場中が、立川志の輔の話芸に魅了され、終始笑いに包まれた至福の150分。
「神田神保町という街は、私にとって大切な街。
ここで落語会ができて、久々に明治大学時代のことも思い出すことができ、幸せでした。」
志の輔師匠が高座で言ってくださった一言。思わず涙があふれた。
終演後のお客様の笑顔の数々は、今も忘れられない。
「神保町が好きになりました。また来ます!」「古本の楽しみ方を知りました」
温かな言葉も沢山頂戴した。大いに笑い、大いに泣いた夜だった。
★
11月3日、8日間の神田古本まつりが幕を閉じる。
最終日は、イケブラと一緒に公式目録を街頭で販売した。
真夏の暑いさなかに、神保町中を走り回って本を集めてくれたユキちゃん。
編集者以上に丁寧な校正をしてくれたりょうにゃん。
そして、この無謀とも思えた企画に快くゴーサインを出し、
余裕ぶっこいていた司会では、誰よりもドギマギしていた素敵な中野会長。
この3人と出会っていなかったら、「第49回」の夢一夜は、絶対に実現していなかった。
自分たちが作った本を、1冊1冊、お客様の顔を見てお渡しできる喜び。
本作りの原点も思い出させてくれた、かけがえのないひととき。
“I LOVE 神保町”
これが、神田古書店連盟×ナビブラというチームが、第49回に掲げたテーマだった。
この街を愛する素敵な人々がいる限り、
神保町はきっと変わらない。
そんな人々の温もりを、この「ナビブラ神保町」というメディアを通して、
もっともっと広く伝えていくことで、
お世話になった皆様方へ、そして神田神保町という街へ
恩返しをしていこう。
★
最後に、多大なるご協力をいただいた志の輔師匠の事務所の皆様方、
不慣れな私たちを助けてくださったお弟子さんの志の八さんとメンソーレさん、
そして何より、私たちの思いに応えてくださった立川志の輔師匠に
心から感謝申し上げます。
2008年11月15日
「ねえねえ、ナビブラさんだよね? 今度さあ、公式目録の面白い特集を作ってくんない?」
まるで「ちょっと煙草を取ってくんない?」というぐらいの軽いノリで、
神田古本まつりに関する制作のお声を掛けていただいたのが、今から2年前。
「公式目録って何ですか?」恐れ多くも尋ねた私に、
「そうなの、誰も知らないの! 誰にも知られてないものを、一人でも多くの人に買ってもらえるように、
ナビブラさんの自由なアイディアで、ねっ!!」
と柔和に微笑んだのは、誰あろう神田古書店連盟の中野会長。
この中野会長の、会長らしからぬ気さくな人柄に惹かれたことが、全てのはじまりだった。
会長を心から慕っている若い古本屋のスタッフたちも、
これまた全く古本屋らしくない、明るく賑やかなナイスガイばかり!!
「古本屋って、気難しそう」というイメージで凝り固まっていた私には、あまりに新鮮だった。
制作を請け負う傍ら、私は若い彼らを「イケブラ」(もちろんイケメン・ブラザーズの略!)と命名、
ナビブラ上に引っぱり出し、さらに中野会長を「トモさん」と呼べるまでに親しくさせていただき、
いつのまにか「神田古書店連盟×ナビブラ」というチーム体制ができあがる。
そうして迎えた2008年、「第49回 神田古本まつり」。
「落語と古本、特に“志の輔らくご”の考えと、神田古書店街の今の姿は、
どこか通じるところがあるよね。古本まつりの企画で、何かできないかな」
これは、地元出身のナビブライター青木氏と私の間で、かねてから話し合っていたことである。
私達は、ナビブラ神保町を運営していく日々の中で、中野会長やイケブラをはじめ、
たくさんの古書店の方々と知り合うことが出来た。
神田古書店街には、当代で四代目・五代目という老舗店が多く、
一方で「世界一の古書店街・神田神保町」という町の魅力にひかれ、
脱サラをして出店した新しい店主もいる。
そのどちらともが「本を歴史に埋もれさせず、きちんと後世に伝えていきたい」という
共通の熱い思いを抱き、老舗と新店が共存して、街を作っている。
この温故知新の精神に結びつく、伝統と現代を見事に融合させた“志の輔らくご”。
私達は共に志の輔らくごの大ファンで、各々が高座に足繁く通っている身。
立川志の輔が創り出す落語の世界感は、神田古書店街のひとつの理想像でもあり、
神田神保町のあるべき姿そのものだと思えてならなかった。
そんな揺るぎない私と青木氏の思いのもと、中野会長に提出した企画。
題して『もしも、立川志の輔が古書店を作ったら…』。
まず公式目録の誌面で志の輔師匠にインタビューをし、誌上“志の輔古書店”を作ろう。
さらに、神田古本まつりでは、古本の市場である東京古書会館の中でそれを具現化し、
もしもその中で落語会ができたら……。
「神田古本まつりと立川志の輔」という組み合わせでしかできない特集、そして落語会。
スタッフ全員の脳裏に、「第49回」の夢が広がっていく。
そして2008年5月、志の輔師匠に手紙を書いた。
★
2008年10月27日。いよいよ「第49回 神田古本まつり」が開幕。
街頭にズラリと並ぶ『古本 第34号』。志の輔師匠の表紙に、道行く人々が立ち止まる。
その2日後、10月29日。
東京古書会館の地下に、志の輔さん自身が選んだ古書を並べ、
一日限りの「志の輔古書店」が誕生する。
暮れかかる神保町にできる、ひとすじの行列。
19時、本に囲まれた落語会『立川志の輔独演会 in 神田古本まつり』がはじまる。
志の輔師匠の一席目は、「志の輔古書店」にも並んでいた清水義範氏の同名作品を
モチーフにした「バールのようなもの」。
二席目は、神保町への思いや読書にまつわる話しなどを盛り込んだたっぷりのマクラから、「壺算」へ。
会場中が、立川志の輔の話芸に魅了され、終始笑いに包まれた至福の150分。
「神田神保町という街は、私にとって大切な街。
ここで落語会ができて、久々に明治大学時代のことも思い出すことができ、幸せでした。」
志の輔師匠が高座で言ってくださった一言。思わず涙があふれた。
終演後のお客様の笑顔の数々は、今も忘れられない。
「神保町が好きになりました。また来ます!」「古本の楽しみ方を知りました」
温かな言葉も沢山頂戴した。大いに笑い、大いに泣いた夜だった。
★
11月3日、8日間の神田古本まつりが幕を閉じる。
最終日は、イケブラと一緒に公式目録を街頭で販売した。
真夏の暑いさなかに、神保町中を走り回って本を集めてくれたユキちゃん。
編集者以上に丁寧な校正をしてくれたりょうにゃん。
そして、この無謀とも思えた企画に快くゴーサインを出し、
余裕ぶっこいていた司会では、誰よりもドギマギしていた素敵な中野会長。
この3人と出会っていなかったら、「第49回」の夢一夜は、絶対に実現していなかった。
自分たちが作った本を、1冊1冊、お客様の顔を見てお渡しできる喜び。
本作りの原点も思い出させてくれた、かけがえのないひととき。
“I LOVE 神保町”
これが、神田古書店連盟×ナビブラというチームが、第49回に掲げたテーマだった。
この街を愛する素敵な人々がいる限り、
神保町はきっと変わらない。
そんな人々の温もりを、この「ナビブラ神保町」というメディアを通して、
もっともっと広く伝えていくことで、
お世話になった皆様方へ、そして神田神保町という街へ
恩返しをしていこう。
★
最後に、多大なるご協力をいただいた志の輔師匠の事務所の皆様方、
不慣れな私たちを助けてくださったお弟子さんの志の八さんとメンソーレさん、
そして何より、私たちの思いに応えてくださった立川志の輔師匠に
心から感謝申し上げます。
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