▲「ドキュメンタリー和本」の映像の一部。荒俣宏さんの語りは必見。
私は、ニューヨークのコロンビア大学院に在籍していて、一昨年の冬から「現代日本の読み書きの文化」についての現地調査をする為に帰国しています。神保町には、資料探しなどで以前からよく来ていたんです。昨年秋の「神田古本まつり」では、併催イベントの『ドキュメンタリー和本』の試写会に参加しました。そこで、フィルムを制作された東京古典会のイケブラ・斉藤さんを紹介して頂いたのが、そもそものきっかけなんです。
海外にも、近代以前の日本史や文化を学ぶ研究者や学生はたくさんいます。ただし、文献として和本を知る機会はありますが、映像で、和本そのものの魅力を伝えるものは今までなかった。だから、このフィルムは日本だけでなく、海外にもオーディエンスがいると思ったんです。そこで、斉藤さんに「英語版制作の予定は?」と伺ったところ、「作りたいとは思ってるんですけど…協力してもらえませんか?」と逆に聞かれまして(笑)。思いもよらないお話でしたが、私にとっては願ってもいない勉強の機会でしたので、喜んでお引き受けしたんです。
日本語の持つニュアンスを、完璧に英語に置き換えることは困難です。でも、店主の方々の含蓄のある言葉や、そこに込められた思いを、できる限りきちんと伝えたいと思いました。そこで、一つのセリフに対し、言い回しを複数書き出しては、皆で悩んで検討して、その繰り返し。とても地道な作業でしたが、イケブラのお二人をはじめとする東京古典会の方達の情熱にも助けられ、とても充実した2カ月間を過ごしました。
思いがけないきっかけで制作に関わらせてもらえたことに加え、現在では、沙羅書房さんでアルバイトもさせて頂いています。神田神保町は、人の好奇心や冒険心を、大きな包容力で受け止めてくれる街ですね。一人で街歩きをしているだけはわからないことも、お店の方に声を掛ければ、とても丁寧に教えてくださいます。この懐の深い街の人々に出会い、そしてお仲間に入れていただけて、とても光栄に思っています。
日本人の神秘性、それは、日本を訪れたことのある外国人なら、誰もがまず気付くことでしょう。長い歴史と豊かな遺産が創りだした文化と人々、その延長線上に、今の日本があるのです。和本は、そんな神秘的な世界の案内役となることを、このドキュメンタリーは教えてくれました。
絵が入った和本には、「蛇」と「蟹」が、当時は「虫」として分類されていた、という素晴らしい発見が隠れているし、本に残されている手書きのメモや丁寧な覚書は、ひと昔前の研究者との対話を可能にしてくれます。
「印刷」が「手書き・手描き」よりも費用がかかった時代の和本は、特に印象的でした。美しい文字のひとつひとつの中にさえ、作者や画家の名声は受け継がれています。
このドキュメンタリーは、観客を和本の世界に導いてくれるだけでなく、私たちの過去を解き明かす事実、そして現在や未来のインスピレーションとなるような貴重な情報が、たくさん詰まっています。
PROFILE
2005年に来日し、現在は都内の私立高校で英語教師を務めるフィリップさん。「日本の文化は他国にはない独特のもの。僕は今、合気道を習っています。神保町は、ラーメンを食べによく行きますよ」と話す親日家。アクターとして、CMやドラマ出演もしています。
Any foreigner who comes to Japan quickly realizes there is a deep mystery to the Japanese people.
Japan is a country of rich heritage and long history, which has helped shape the people and culture that is modern Japan.
From this documentary, it is clear that Wahon are one of the most clear windows available into the mystery of Japan.
There are all kinds of fascinating discoveries, from illustrated books revealing that traditionally snakes and crabs were classified as insects in Japan, to delicately written notes in the margins that give us the rare chance to dialogue with ancient scholars.
The hand-painted artwork in Wahon is especially impressive, from a time when printing pictures was more costly than hand-painting them each time. Even in the beauty of each written character, the artist's legacy lives on.
This documentary introduces viewers to the world of Wahon, a huge collection of invaluable information for anyone seeking answers from the past, insight into the present, or inspiration for the future.
Japan is a country of rich heritage and long history, which has helped shape the people and culture that is modern Japan.
From this documentary, it is clear that Wahon are one of the most clear windows available into the mystery of Japan.
There are all kinds of fascinating discoveries, from illustrated books revealing that traditionally snakes and crabs were classified as insects in Japan, to delicately written notes in the margins that give us the rare chance to dialogue with ancient scholars.
The hand-painted artwork in Wahon is especially impressive, from a time when printing pictures was more costly than hand-painting them each time. Even in the beauty of each written character, the artist's legacy lives on.
This documentary introduces viewers to the world of Wahon, a huge collection of invaluable information for anyone seeking answers from the past, insight into the present, or inspiration for the future.
この度、多くの方々のご協力により「英語字幕スーパー付きDVD」が完成いたしました。私たちは、このDVDを多くの国々で見ていただく為のアイデアやご協力を求めています。また、公共での上映会の企画、媒体での放送なども可能ですので、何かございましたら、是非下記までご一報下さい!
日本書房 西秋ユキヲ
03-3261-2740 nihonsho@tky2.3web.ne.jp
※海外でのTV放映(全編・一部両方含む)の際は、著作権の問題上、
東京古典会(もしくは629inc)の了承を得てからお願いします。
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日本語版は、こちらでダイジェストをご覧いただけます。