▲日本語も英語も堪能なケンさん。見上げるような長身と端正な顔立ちは、まさにモデル級!
ケンさんの父・デビッドさんがニューヨークから日本にやってきたのは、1950年代の後半。当時は宝石商をなさっていたとか。「父が浮世絵を集めだしたのは個人的な趣味ですね。いわゆるコレクターだった。そのうち素晴らしさに魅了されていき、いつしか本業になってしまったということです(笑)」 最初に事務所を構えたのは慶応大学にほど近い三田で、その地名が店名の由来。神保町に画廊を開いたのは、アメリカの大学に通っていたケンさんが帰国し、手伝うようになってからのこと。「土地勘のある広尾や六本木界隈や、画廊が点在する銀座に店を開くことも考えました。でも、浮世絵で勝負するなら神保町がいいとのアドバイスを受けまして。お客さんは、同業のお店がたくさんあり、より選択肢の多いこの街にやってくるんですね」
かくして神保町にやってきたケンさん。しかし、はじめの半年は驚きの連続だったという。「比較的閑静な住宅街に住んでいたもので、はじめは行きかう人の多さに戸惑いました。とにかくエネルギッシュな街なんです。お店の数も覚えきれないくらい多いですし。でも、慣れてくるにつれ、下町特有の『親切心』や『人情』をひしひしと感じるようになり、日に日にここに通うのが大好きになっていきました」 その人情は決して形だけのものではないと、ケンさんは続ける。「一番ビックリしたのは、なにより同業者の仲が良いこと。ともすればライバル心たっぷりで、いがみあいがちな業界ですが(笑)」 自分の店に望む品がなければ、親切に近所の同業者を紹介する。それがお客さんのためになり、お客さんの喜びは神保町という街への信頼につながり、やがて自分の店にその恩恵が帰ってくる。「歴史のある古書店街ならではの考え方ですね。私のような新参者も温かく迎えてくれる懐の深さにも感謝しています。こんな素晴らしい街で店を構えていることを、いつも誇りに思っていますよ」
▲ふだんはとても物腰が柔らかくてクールなケンさん。しかし、ひとたび浮世絵の話になると、とても情熱的です。
▲「1万円くらいの浮世絵もあります。あの有名な広重だって、5万円程度のお求め安い作品もあるんですよ」とのこと。
北斎や広重といった腕利きの「画家」、原画を版木に彫りこむ「彫り師」、色鮮やかに刷り出す「刷り師」、そして全体を統括する「版元」。浮世絵はこれらが四位一体となった素晴らしい芸術作品です。縦38p横25pと、大きさがほぼ決まっているのも特徴で、限られたスペースのなかで展開される図案の素晴らしさが最大の魅力でしょう。今でいうグラフィックデザインの世界とよく似ていますね。 また、ゴッホやモネといった印象派の画家をはじめ、近現代の美術界に多大な影響を与えたのも、浮世絵の大きな功績のひとつ。まさに日本が世界に誇るポップアートです。
三田アート画廊
神保町駅から徒歩30秒という便利さ。浮世絵初心者でも、店内を眺めるだけで充分に楽しめます。
電話 03-3233-0205
住所 神田神保町1-10-1 IVYビル4階
営業 10:30〜18:00
定休 月・日・祝日
URL http://www.mita-arts.com/
神保町駅から徒歩30秒という便利さ。浮世絵初心者でも、店内を眺めるだけで充分に楽しめます。
電話 03-3233-0205
住所 神田神保町1-10-1 IVYビル4階
営業 10:30〜18:00
定休 月・日・祝日
URL http://www.mita-arts.com/