日常の雑念を振り払い、幻想的な気分に浸らせてくれる店といえば、やはり「さぼうる」!神保町喫茶店の代名詞ともいうべきサンクチュアリで、周りの小難しい本を読んでいる達人横目に、軽いタッチのファンタジーノベルを読むのも乙なもの。ちょっぴりほろ酔い気分で読みたいから、お酒を頼むのも良し。僕のお勧めは森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』。舞台は京都、季節は春、ですが気にしないでください。古本屋出てきますし。主人公の黒髪の乙女が可愛いですし。ふと本から顔をあげた瞬間、向かいのテーブルに黒髪の乙女がいるかも!?なむなむ。
ノンフィクションでも時代小説でも、過去にタイムスリップさせてくれる作品を読むなら、落ち着いた空間で、先人とゆっくり対話がしたい。そんな時は「Tea House TAKANO」がお勧めです。紅茶が持つ本来の味と香りにこだわり続けた店です。明るい店内で紅茶の本質を味わいつつ、歴史を通して人間の本性を見つめてみてはいかがでしょうか?僕の推薦本は和田竜『のぼうの城』。とにかく痛快です。歴史嫌いの人も、読書嫌いの人も、老若男女が楽しめる歴史エンターテイメント小説です。
今、エンターテインメントの文芸界はミステリ系が席巻している気がします。ランキング信仰の強い僕にとって、「このミス大賞」なんてのは、グッとくるのです。第4回受賞作品・海堂尊『チーム・バチスタの栄光』には、はまりました。現在の医療問題などもちりばめた社会派な側面もある医療ミステリです。そんなミステリアスな雰囲気を醸し出している喫茶店はずばり「白十字」。外観も店内も不思議です。店名「白十字」ってのも医療ミステリを読むのにピッタリでしょう。主人公田口の不定愁訴外来の一室に入り込んで、藤原元婦長のコーヒーを飲んでいるかのような気になるシチュエーションが味わえます。
漫画喫茶の狭い一人部屋でマンガを読むことが当然となってしまった今、たまには広い空間でマンガを読んでみたいという気持ちになりませんか。そんな広い空間を持っている喫茶店は「古瀬戸」です。今まで狭い一室で読んでいたものが、急に大海原に飛び出して読書をしているような心持になります。そうです、大海原といえば、『ONE PIECE』です。笑いあり、涙あり、大スペクタクル海賊漫画です。食事も充実しているので、左手に漫画、右手にスプーンという読書メシが楽しめるのも「古瀬戸」ならでは!